
僕が大学時代に住んでいたのは4畳半の安アパートだった。
風呂無し、トイレ共同。もちろん玄関も共同で、そこで靴を脱ぎ、薄暗い廊下を歩いて
いちばん奥が僕の部屋だった。 |
ドアは横にガラガラっと引くタイプのもの。
くもりガラスがはめてある。
立て付けが悪く、隙間があるためスポンジで出来た隙間テープを
貼ってあるのだか、それさえもところどころ剥がれドアと柱の間から
隙間風が吹き込んでくる。
典型的な貧乏学生の住むアパートだが、学校から近かったため
けっこう友人が来ていたのだ。
そんなある日。 |
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僕が部屋でTVを見ているとガタガタと誰かが玄関を入ってくる音が聞こえた。
そして薄暗い廊下を僕の部屋に向かって歩いてくる足音。
…ギシ…ギシ…ギシ……。
廊下の軋む音…。
僕は近くに住む友人Tが遊びに来たのかと思っていた。
…ギシ…ギシ…ギシ……。
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はたして足音は僕の部屋の前で止まった。
ドアのほうを振り返ってみると、くもりガラスにぼんやりと影が映っている。
隙間から黒い影がチラチラと動いているのさえ見て取れた。
すぐにドアがガラッと開いて友人Tが顔をだす……と、思っていた。
しかしドアは閉まったまま。いっこうに開く気配がない。
おかしいな…? |
気になるので時々ドアのほうを振り返ってみる。
くもりガラスに人影が映っている…。
ドアの隙間から黒い影が動くのが見える…。
たしかに誰かがドアの前にいるのだ。しかし、いつまでたっても部屋に入ってこようとしない。 |

耐えきれず、僕は立ちあがった。
ドアのそばへ行く。
人影が動いている。
ガラッ!
ドアを開けてみた。
そこには誰もいなかった…。
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このアパートでは何度か同じような経験をした。
また、部屋から出ると廊下の角をサッと人影が過ぎて行くところを目撃した事もある。
もちろん追いかけてみても誰もいないのだ。
誰か…人間以外のものが住みついているのか…。
それとも誰かを訪ねてやって来るのか……。 |
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