ろうそく



八王子ミステリーツアー


会社の同僚たちと心霊スポット巡りをやろうということになった。選ばれたのは八王子。
旧甲州街道のトンネルや御主殿の滝などへ夜中に赴き、写真を撮ったり、怪談話をしたりするのだ。


夜、11時過ぎに葛西を出発し、1時頃には八王子へ着いていた。

旧甲州街道の入り口を探しながら車を走らせているうち、撮影用のカメラを用意していなかったことに気が付いた。
手「どっか、コンビニで使い捨てのヤツ買おうや。」
僕らは高尾の辺りでコンビニを見つけ、車を止めた。

買物を済ませ、車へ戻ろうとすると、車の周りが妙に明るいのに、おやっと思った。

近づいてみると、車は歩道脇の家の玄関前に止まっているのだが、その家のドアが開き、中から光が漏れている。
そこには喪中の紙が貼ってあり、坊さんの声がかすかに聞こえていた。

「まじかよ、ツアーの始めにいきなり葬式かよ。」
不謹慎だが、なんだかヤバイことが起こりそうな気がしていた。
幽霊

予想に反して旧甲州街道ではなにも起こらなかった。
しかし、御主殿の滝へ近づく頃からなにやら怪しい気配が漂いはじめたのだ。

御主殿の滝への道は、途中に車止めの鉄柵があり車では滝のそばまで行けなかった。

そこで、途中から歩いて滝に向かったのだが、僕らが鉄柵の傍を離れると、何者かが鉄柵をガ―ンと強く殴ったのだ。

調べてみたが、誰も居ない。

不安になりながらも先へと進むと懐中電灯の光の中に慰霊碑が浮かび上がった。碑の後ろには卒塔婆が何本も腐って崩れていた。わき道の下の方から水の音が聞こえてくる。

「滝は、あっちやな。」
みんなして滝の傍まで行ってみた。
御主殿の滝はささやかなもので懐中電灯の明かりでも全景が見渡せるほどだった。

墓その時!

ザッザッザッと林の中を歩く足音が聞こえてきた。

足音はさっきの慰霊碑の裏の辺り、ちょうど、僕らの居る滝のすぐ上の林の中から聞こえてくる。

暫くは、みんな固まったように動けずにいたが、やがて足音が、ガツッガツッ!っと土を踏み固める音になるにつれ、やっと声を出せるようになってきた。

「だっ…誰だ!?…誰かいるのかぁ!!」

僕らは大声をあげながら林道を駆け上った。

暗闇の中、足音のする林の中…。思い切って懐中電灯の光で照らしてみた。

パッ!!

その瞬間、足音はかき消すように消え、林の中には腐った卒塔婆が散乱しているだけだったのだ…。



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