山中湖の音楽スタジオ

この話は前に勤めていた会社の同僚が体験した出来事です。彼のことは仮にKとしておきましょう。では…

Kは大阪出身で、高校時代バンドを組んでいた。
卒業が近づき、就職も決まった。Kは東京へ行くこととなり、バンドも解散することが決まった。
そこで解散コンサートを開くことになり、卒業旅行をかねて、練習に山中湖の音楽スタジオへ行くことにした。

青春18切符を使い、各駅停車の電車を乗り継ぎ、一行は山中湖に到着した。

スタジオはペンションを兼ねている。真ん中に母屋があり、そこに食堂がある。
7〜8人くらいがはいれる寝室と専用スタジオとで独立した棟となっていて、そういう別棟が林の中に点在するような造りになっている。
つまり、スタジオはいくつも有り、数組のバンドが泊まって練習できるようになっていた。


Kたちは到着した日の午後からすぐに練習を始めた。しかし、どうしたわけか、持って来ていたシンセサイザー(電子ピアノ)の調子がおかしい。
音の調律を自在に変えることができる高性能タイプだったが、調律が狂ったまま戻らない。まるで音痴の人が歌うようにメロディが弾けなくなってしまっている。


仕方なく、予備のキーボードを使ってその日は練習した。

夕食は母屋に集まって食べるようになっていた。
食事の後、ペンションのオーナー(元ミュージシャン)がギターを弾いてくれたりした。

そのうち、オーナーが怪談話を始めた。

「今、君らが泊まっているスタジオは、かつてこんな出来事があったんだ…。」

Kたちは、まだ高校生、合宿のようなノリだったので、オーナーも面白がっていたのだろう。

昔、真夜中に、誰も居ないスタジオでギターが鳴り響いた。それも、無茶苦茶に引っかくような変な音だった。スタジオに確認に行ったが、中に人は居ないのにギターだけが鳴っている。スタジオのドアを開けると音は鳴り止み、暗闇の中に、スイッチの入ったアンプと、コードの外れたエレキギターが転がっていた。

話を聞いたKたちは離れの寝室へ帰ってからもビビリまくっていた。
「あのオーナー、なんちゅう話をするんや。恐ろしいやんけ。」

しかし、それでも長旅の疲れもあり、Kたちはすぐに眠りに落ちた。

……。どのくらいたったのか…。

かすかに聞こえてくるメロディにKは目を覚ました。


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